2006年03月24日

猫の地球儀(焔の章):第一印象

nekonotikyuugi_homura.jpgあれから、七百年と半分が過ぎた。

冒頭の一文がコレ(↑)。どうです、そそりませんか?
唐突に放り出された『七百年』という気の遠くなるような時間と、それに続く『半分』という、いささか子供じみた表現に。
そして三行分の改行の後に、続く本文の最初の一行。

朧はもちろん猫で、牡で、おいぼれで、最後のスカイウォーカーだった。



何かの本で読んだのか、それとも誰か(もしかしたら国語教師とか)の言葉だったのか定かではなく、内容もうろ覚えなんですが、確か、こんな趣旨の言葉に、『あ、確かにそれってあるかも』と頷いた覚えがありまして。

『小説の最初の一文と最後の一文を見れば、その小説が自分に合うかどうか解る』

『猫の地球儀〜焔の章』(秋山瑞人・電撃文庫)の出だしの一文は、まさにるしは好みでありました。
あぷろんさん、薦めていただきありがとうございます。
結局iPodを一時封印して読み始めたるしはです。

さて、記事タイトルに『第一印象』とあるとおり、この記事は全編を通した感想ではありません。
現在るしはは65ページというまだまだ序盤を読み進めているに過ぎず(楽が喜びの踊りを踊っているアタリ)こんな半端なトコロで感想を書いても片手落ちで的外れなモノになるに違いないのですが……
でも、だからこそ書いておくのも面白いかな、なんて思ったのですよ。

というのも、何故か、昔読んだある小説を思い出したものですから。


『猫の地球儀〜焔の章』(以下『猫』)って、読者に対する説明を意図的に廃してるトコロがあるじゃないですか。
そんなディレイニーっぽい、というかギブスンぽいというか、そういう『放り投げた』書き方に惹かれたというのもありますが、それよりるしはが強く思ったのは

これ、カバーイラストや挿絵、ない方が良かったんじゃない?

と、いうコト。
いえ、椎名優さんに含むところは御座いませんよ?むしろ好き。
ただ、イラストのイメージで、せっかく『放り投げた』状態のキャラクターのイメージを狭めちゃうのが、ちょっと勿体無い気がして。

この作品の主人公達は、冒頭の一文にもあるように猫なわけですが、これが単に猫を主人公に据えるための安易な擬人化だったら、るしはは1ページ目で本を閉じてました。
『猫だった』と断言されていながら、しかし彼らはどう考えても猫ではないんですよ。
漢字一文字で表されるまったく猫らしくない固有名詞や、『スカイウォーカー』という意味不明の(容易に某ジェダイナイトを連想させる)身分、そして宇宙で研究に没頭し、人間のように思考し、ロボットを使役する……
(まったくもって猫らしくない)
いかにも猫らしいリアクションはあるものの、ヒゲは『電波ヒゲ』であり、コミュニケーションは音声ではなくデジタル信号。尻尾はモノを掴む事が出来る……
(もはや機能的に見ても猫とは言い難い)

作中の年号は西暦。つまり、現実の世界の延長線上に設定されているけれど、しかし、モノの呼称は明らかに異なっていて『地球』は『地球儀』で、『人間』は(たぶん)何故か『天使』だ。
だから、猫が、こちらの世界でのにゃんこだとは、限らないじゃない?
シッポやヒゲという、いかにもなパーツが、猫と同じく配置されているとはどこにも書いてないわけだから。

そういう、ちょっとしたレトリックが、もしかしたら本作が持っていた魅力の一つだったんじゃないかな、なんて思ったのも、昔読んだ筒井康隆の快作
虚航船団』(新潮文庫・絶版)
を連想してしまったから。

『虚航船団』のあらすじを簡単に言うと、宇宙戦艦に乗った文房具たちが、イタチの惑星を侵略する話
第1部は戦艦内での文房具たちの人間模様。
第2部はイタチの惑星の歴史。(人類の歴史のブラックなパロディですね)
そして第3部は、文房具とイタチの熾烈な戦争が描かれてます。

で、るしはが『猫』を読んで連想したのが、文房具達の描写なわけですよ。
あくまで人間のように人格を備えたキャラクターとして、会話もするし、戦争の重圧に押しつぶされたり、『文房具』と呼称されてるだけで、結局人間なんじゃん?とか思ってると、ホチキス氏は神経質に空打ちしてコの字型の針を撒き散らす、なんて描写が出てくるンですよ。
もう彼らの体型(形状)が想像出来ません。なのに、違う文具同士のSEXシーン(笑)とかあって、もうビジュアル的な想像不可能、みたいな。

そんな感じの得体の知れない文章的レトリックの匂いを、『猫』にも感じてしまった、というわけです。
こういう『手法による面白さ』ってのに弱いんですよ。
ちなみに『虚航船団』は、読点句読点改行カギカッコ一切なしという書き方で、しかしそれが誰の行動で誰の台詞なのか一目で解ってしまうという、マルケス(ん?リョサだっけ?)的離れ業を実現していて、そういう意味でもお腹いっぱいな快作なのでした。

ま、最初にも書きましたが、読み進めていけば、上記のような読み方は全然的外れかもしれないんですけどね。
作中の猫たちの設定も、レトリックではない説明がキチンとされるかもしれませんし。
ともかく、長々と御託を並べましたが、結局何が言いたかったかというと
この作品の掴みはOK!
ってことですわ。
読み終えたら、第一印象との差異なんかも含めて、感想アップするとします。


あ〜しかし久々に考えナシな文章長々と書けてスッキリしました。
多分ヘンな日本語ばんばん濫用していて読みにくいと思いますが、まーそこはソレ、下手の横好き、ってコトでひとつ!

では最後に一言。
レトリックって、なんとなく使ってるんですが……どういう意味?(オイ
posted by るしは at 01:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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